有機栽培と無農薬栽培の定義

「有機農業の推進に関する法律」による有機農業の定義は以下のとおりです。

  1. 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない
  2. 遺伝子組換え技術を利用しない
  3. 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する
    農業生産の方法を用いて行われる農業です。

「有機農産物の日本農林規格」の基準に有機農産物の定義は以下の通りです。

  1. 周辺から使用禁止資材が飛来し又は流入しないように必要な措置を講じている
  2. は種又は植付け前2年以上化学肥料や化学合成農薬を使用しない
  3. 組換えDNA技術の利用や放射線照射を行わない
    農産物です。

また、福井県の認証制度における特別栽培農産物(区分1)では、
いわゆる無農薬栽培農産物を以下のように定義しています。

  1. 栽培期間中に農薬を使用しない
  2. 栽培期間中に化学肥料(窒素成分)を使用しない
    農産物のこと

農薬の危険性

有機米・無農薬米を食べるメリットは、もちろん農薬や化学肥料を取り込まずに済むことです。

では、これらを摂取するとどのようなことが起こるのでしょうか?

 

第59回日本農村医学会学術総会では、以下のように表現されています。(以下抄録より)

わが国で農薬が本格的に使用されるようになったのは、第二次世界大戦後である。
戦後、農薬は農作物の生産性向上、労力の軽減など農業には重要な資材としての役割を果たしてきた。
生産量の推移をみると、戦後30年の間に急増し、1974年に過去最高の75万トンに達し、その後は暫時減少し、90年代後半からは60年代の水準(30万トン台)になっている。
殺虫剤の使用が最も多いが、兼業化など人手不足による省力化のため、除草剤の使用も多くなっている。
2)急性中毒および障害
かつてはホリドールやテップなどの毒性の強い農薬による中毒が多かったが、1971年に強毒性農薬が禁止になり、中毒事故は減少した。
しかし、その後パラコート系除草剤による死亡事故(主として自殺)が相次いだ。
1976年にパラコート系除草剤のうちグラモキソンが製造中止になり、代わってプリグリックスLが使われるようになり、死亡事故はやや減少した。
農村病院を受診した者の統計からみると、急性中毒と皮膚障害が多い。
「健康カレンダーによる調査」によると、4人に1人が中毒症状の経験がある。

2.農薬使用の問題点
1)2006年5月の「ポジティブリスト制度」の施行による問題点
「ポジティブリスト制」は、基準が設定されていない農薬が一定量以上含まれる食品の流通を原則禁止する制度である。
以前の「ネガティブリスト制」は、農薬の残留基準値がない場合、規制の対象にならなかったが、新制度により一律基準0.01ppmが適用、規制される。
消費者にとっては残留農薬の減少など好ましいことではあるが、生産者にとってはドリフトなど問題が多い。
これは農薬の登録制度にも問題がある。
2)ネオニコチノイド系農薬の使用
最近、有機リン農薬に代わって新農薬「ネオニコチノイド」(新しいニコチン様物質)が大量に、しかも広範囲に使用されている。
今、ミツバチが忽然と姿を消す怪奇現象が多発し、その原因の究明が急がれているが、ネオニコチノイド系の農薬もその一つに挙げられている
3)農薬の表示についての問題点
日本では、「農薬」と表現されているように危険なイメージは少ない。
農薬には、その中毒を防止する観点から「毒物・危険」の表示が必要である。
アメリカはドラム缶に「ドクロマークとPOIZON」表示がされている。
フィリピンでは、その毒性により分類し、農薬のビンの下に幅広のテープを貼ったように色を付けている
色分けされ、一見してこれがどのランクの毒性を持つ農薬なのかが分かる。
しかも毒性の強い農薬は、一般の店では販売されていない。
日本は赤地に白文字で「毒物」、白地に赤文字で「劇物」と小さく書かれているだけである。
4)農薬による皮膚炎
農薬による中毒・皮膚炎などにはその種類により特徴があり、注意する点も多い。
とくに石灰硫黄合剤による皮膚傷害は深刻である。
中毒を防ぐためにマスクの使用や、通気性がよく防水性のある防除衣の使用などについても考えてみたい。
(以上)

 

実は、日本は世界でも稀にみる農薬大国です。
狭く、気候の読みにくい日本で収穫量を確保するには、土地面積当たりの収穫量を多くすることが最も重要だと考えられているからです。

そのため、日本の農薬規制は全世界的にみても非常に後進的であり、ネオニコチノイド農薬などに関してはむしろ世界的な規制の流れに逆らっており、逆進的とすら表現されています。

機械やIT等の技術面では先端を行く日本ではありますが、こと農薬に関してはこういった背景があるため、例え日本国産の農作物であっても、安全性が確保されているとは言い難いのが現状なのです。

 

有機農業は環境保全の側面も大きい

有機農業=生き物たくさん?
農業技術研究所の調査マニュアルにより、田畑の生き物調査を行った結果、
アカネ(トンボ)の抜け殻やニホンアカガエル、コモリグモ、水生コウチュウなど、たくさんの生き物が見つかったというデータ(農林水産省の有機農業に関するパンフレット)があります。

生物多様性保全の効果の評価では、生物多様性が高い田畑の割合に関して、農薬・化学肥料を使用している田畑が34%だったのに対し、有機農業を実践する田畑では75%と大きな差がありました。